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2005.02.27

運命(16)

彼女の住む仙台への出張は、残暑の厳しい9月中旬頃ではなかったかと思う。確か、半袖のシャツに慣れないネクタイを締めて出張したように記憶している。月曜~金曜で搬入、立ち上げ、引渡しというスケジュールだった。

ところが、いざ蓋を開けてみると、完成しているはずだった得意先機器とのインターフェースが完成していない。現地での調査・解析を踏まえて、作りこむ回路も残していたのだ。そちらを担当するのは、G社のTさんだった。自分は、本システムの方の立ち上げに専念するが、こちらも、コンピュータの調子がよろしくない。そんでもって、最も、肝心のハードウェア本体でトラブル発見、たちまち、暗雲が立ち込める。

それからというもの、朝、昼、夜、朝と、得意先のシステム室に張り付く日々となる。外に出るのは、食事に出る僅かな時間だけ、得意先の方々が帰られてからでないと出来ない作業をしていると、あっという間に、午前0時を回ってしまう。そうなると、セキュリティシステムが作動し外に出られなくなるので、結局、朝方まで、ビル内に居ることになった。

昼を食べた後に、ホテルに戻り、シャワーを浴びて仮眠、そして、夕方には、また戻る。あっという間に、こんな日々が2週間も続く。今、思い返しても、当時は良く働いたものだ。土日もなく、働き続けたのだから。そのうち、朝晩は冷え込むようになり、Fデパートでカーディガンを買ったことが懐かしい。

10月に入っても事態は好転せず。そのうち、会社では事業部の新設に伴い、所属グループの組織変更もあった。出張先滞在中に、組織が変わり、多分、机なども移動されているのだろうが、そんなことを考える余裕もなく、システムの立ち上げに没頭した。

そろそろ先が見えてきた休日、得意先では芋煮会を開催するとのことで、誘われたのだが、仕事を優先して辞退した。こうして、夜昼なく働いて、なんとか引き渡すことができた。1週間の出張予定は、結果的に、45日間の出張となった。

約1ヶ月半も彼女の住む仙台にいながら、彼女と会えた回数は片手にも及ばなかった。それも、晩飯を食いに出る時間だけ待ち合わせて一緒したりという程度のものだった。こんなに近くに居るのに、なぜ、会えないのか?、お休みもないのか?と思うところだが、当時は、そういうことだったのだ。でも、彼女は、自分が置かれている状況を含め理解してくれようとして、暖かく見守ってくれた。

会えそうで会えない中での、彼女の思いやりを感じるうちに、冷めかけていた気持ちに変化を感じた。はっきりしなかった自分の気持ちが、ある方向に流れ出すのを感じた。

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